けんめいないのち 物絵かき
幼い頃から体が弱い。 熱が出れば、点滴で落ち着かせなきゃいけなかった。 大人になってから体調を崩すことは少なくなってたはずなのに、1度の熱を境目に、次風邪でも引いたらしんでしまうんじゃないかと怯えてる。 こわがりだからね。 救急車を呼ばれた日。 体に合わない薬。 しがみついて降りた階段。 流し込んだ水が冷たくて体の内側から凍えてた。 よく見る悪夢があって、 泣いて目を覚ます。 もうとっくの昔...
飛行機が近くを飛ぶと正気に戻る。 パーカーを脱ぐ時の雑音がすき。 うるさくってなかなかうまく脱げなくて、 暗い空に煙を吐いたら灰色だった。 キッチンを横切る蜘蛛の足は確かに8本だったんだ。 見えなくてよかったのに、知ってしまった。 もう遅いから電車には乗れないよ。 髪の毛を変えようと猫の写真を検索した。 べつに猫じゃなくてもいいんだけど、動物の毛色ってきれいだから少しでも近づきたくていつもそ...
ALT もぞもぞ 巣を張るクモをブローチに 息の仕方を忘れたみたい 肺いっぱいに空気を入れたい どうにか深くと いのちを守る これじゃない あれじゃない それでもない 正解ばかりが先回り まだかな まだかな 届かない ねえ 留守番電話にきみはいない シャボン玉なら届くと思った 触れたはずなのに 足りない背丈 伸ばした指に残った風で ちいさなイタズラ しかたがないね きみの火を消しちゃった まっててね
指からおっこちる指輪。 ずりおちるズボン。 縛り上げるコルセット。 お腹いっぱいご飯を口にしたのは、いつぶりだろうか。 鏡の前に立つ。 この肉体を眺めて、まだまだだと嘆く。 お茶碗一杯食べ終えた。 途端に、醜く、重く、体が床に張り付いた感覚に気持ち悪くなる。 でもこんなこと言ったって困るでしょ。 幼い頃の口に突っ込んだ指が可哀想で、 もうトイレには駆け込まない。 お酒で満たす。 眠るまで、意...