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「原因不明の慢性咳嗽」と言われると、つい後鼻漏・喘息・GERDを一通り治療して「反応なければ心因性かな」で終わらせがちですが、この総説を読むと反省させられます😅 実は3大原因除外後にも13.1%もの症例がこうした「レア原因」に該当するとのことで、見逃している患者さんが意外といるのかもしれません。
特に驚いたのがOSA(睡眠時無呼吸症候群)との関連です。これまで胃酸逆流と咳の関係ばかり気にしてPPIを漫然と続けていましたが、慢性咳嗽患者の44%にOSAが併存し、逆にOSA患者の33%に慢性咳嗽があるという数字を見ると、これは無視できません。しかもCPAP群はシャムCPAP群より有意に咳が改善したというRCTもあり、1週間という早さで改善したとの報告もあります。「逆流治療で効かない咳イコール難治性」ではなく、実はOSAスクリーニング未実施だっただけ、というケースが潜んでいそうです。
その他に下記のようなものは稀ですが注意が必要です
▶️ Arnold反射(耳介への刺激で咳誘発)は慢性咳嗽患者で25%、健常者では2%と有意差があり、耳垢栓塞の除去だけで治ることもあり、私も経験があります
▶️ ACE阻害薬による咳はARBと比べ相対リスク3.2(95%CI 2.91から3.51)、ARBへの切替後も咳が残るcarryover現象は知っておきたいところです
▶️ ビタミンB12欠乏でも喉頭過敏性が上がり、補充で咳が改善したという報告があるようですが私自身は経験がまだありません。
▶️ 扁桃肥大(Brodsky grade 3から4)による喉頭蓋への機械的接触も咳の原因になり得て、実際に扁桃摘出後に咳感受性が有意に改善したという前向き研究があり、OSA関連咳の改善機序とも重なる可能性が指摘されています
▶️ 心原性咳嗽も見逃しやすく、心不全による肺うっ血だけでなく、心膜嚢胞や右側大動脈弓による気道外部からの圧迫、さらにはPVCやSVTなど不整脈そのものが咳を誘発することもあるようで、動悸の後に咳という病歴は要注意かなと思います.こちらから聞きにいかないと気付けません.
▶️ 気道の構造異常(気管憩室、気管支軟化症など)は胸部単純写真ではほぼ正常に見えるため、難治例では高分解能CTや動的気管支鏡まで踏み込む閾値を下げておくと診断遅延を防げそうです
▶️CANVAS(Cerebellar Ataxia, Neuropathy, and Vestibular Areflexia Syndrome、小脳性運動失調・末梢神経障害・両側前庭機能障害症候群)のように「咳が失調症状より何年も先行する」という神経疾患の存在も、正直この論文で初めて意識しました。家族歴(同胞の不安定歩行)や末梢のしびれがあれば、頭の片隅に置いておこうと思います。
明日からは、難治性咳嗽の患者さんにはSTOP-Bangや問診でOSAを一度スクリーニングし、耳鏡・喉頭内視鏡での機械的要因の除外、内服薬の見直しをルーチンに組み込みたいと感じました🌿
引用文献
Sabarinathan N, Gray R. Rare Causes of Unexplained Chronic Cough in Adults. Otolaryngol Clin N Am. 2026;59:851から866.
咳・痰と食物アレルギー 医学情報ノート retweeted
「原因不明の慢性咳嗽」と言われると、つい後鼻漏・喘息・GERDを一通り治療して「反応なければ心因性かな」で終わらせがちですが、この総説を読むと反省させられます😅 実は3大原因除外後にも13.1%もの症例がこうした「レア原因」に該当するとのことで、見逃している患者さんが意外といるのかもしれません。
特に驚いたのがOSA(睡眠時無呼吸症候群)との関連です。これまで胃酸逆流と咳の関係ばかり気にしてPPIを漫然と続けていましたが、慢性咳嗽患者の44%にOSAが併存し、逆にOSA患者の33%に慢性咳嗽があるという数字を見ると、これは無視できません。しかもCPAP群はシャムCPAP群より有意に咳が改善したというRCTもあり、1週間という早さで改善したとの報告もあります。「逆流治療で効かない咳イコール難治性」ではなく、実はOSAスクリーニング未実施だっただけ、というケースが潜んでいそうです。
その他に下記のようなものは稀ですが注意が必要です
▶️ Arnold反射(耳介への刺激で咳誘発)は慢性咳嗽患者で25%、健常者では2%と有意差があり、耳垢栓塞の除去だけで治ることもあり、私も経験があります
▶️ ACE阻害薬による咳はARBと比べ相対リスク3.2(95%CI 2.91から3.51)、ARBへの切替後も咳が残るcarryover現象は知っておきたいところです
▶️ ビタミンB12欠乏でも喉頭過敏性が上がり、補充で咳が改善したという報告があるようですが私自身は経験がまだありません。
▶️ 扁桃肥大(Brodsky grade 3から4)による喉頭蓋への機械的接触も咳の原因になり得て、実際に扁桃摘出後に咳感受性が有意に改善したという前向き研究があり、OSA関連咳の改善機序とも重なる可能性が指摘されています
▶️ 心原性咳嗽も見逃しやすく、心不全による肺うっ血だけでなく、心膜嚢胞や右側大動脈弓による気道外部からの圧迫、さらにはPVCやSVTなど不整脈そのものが咳を誘発することもあるようで、動悸の後に咳という病歴は要注意かなと思います.こちらから聞きにいかないと気付けません.
▶️ 気道の構造異常(気管憩室、気管支軟化症など)は胸部単純写真ではほぼ正常に見えるため、難治例では高分解能CTや動的気管支鏡まで踏み込む閾値を下げておくと診断遅延を防げそうです
▶️CANVAS(Cerebellar Ataxia, Neuropathy, and Vestibular Areflexia Syndrome、小脳性運動失調・末梢神経障害・両側前庭機能障害症候群)のように「咳が失調症状より何年も先行する」という神経疾患の存在も、正直この論文で初めて意識しました。家族歴(同胞の不安定歩行)や末梢のしびれがあれば、頭の片隅に置いておこうと思います。
明日からは、難治性咳嗽の患者さんにはSTOP-Bangや問診でOSAを一度スクリーニングし、耳鏡・喉頭内視鏡での機械的要因の除外、内服薬の見直しをルーチンに組み込みたいと感じました🌿
引用文献
Sabarinathan N, Gray R. Rare Causes of Unexplained Chronic Cough in Adults. Otolaryngol Clin N Am. 2026;59:851から866.
感染症専門医として梅毒の増加を見てきた身には、国全体で梅毒が半分以下に減った国が出てきたという報告は衝撃でした😲これまで私たちは、梅毒やクラミジア対策は「定期スクリーニングして見つけて治す」ものと教わってきましたし、それで十分と考えがちでした。論文でも、無症候者のスクリーニングだけで集団の有病率が持続的に下がる実証はないと述べられています。
オーストラリアの29施設・MSM 78,560例の定点サーベイランス(ACCESS、2022〜2025年)で、全国ガイダンス(2023年9月)後27か月を、それ以前の傾向が続いた場合と比べると、
▶️ 梅毒は累積診断数が55%減(RR 0.45、95%CI 0.35〜0.55)
▶️ クラミジアは36%減(RR 0.64、0.45〜0.84)
▶️ 淋菌は有意差なし(RR 1.11、0.59〜1.63)
▶️ 直近1年に性感染症歴のある群の梅毒はRR 0.36とさらに大きな減少でした
ただし解釈には注意が必要です⚠️
▶️ 個人のdoxyPEP使用を確認したわけではなく、因果ではなく「ガイダンス後の集団レベルの関連」です
▶️ 行動変化などの未測定因子は否定できません。ただ淋菌だけ減っていないことから、著者は行動変化だけでは説明しにくいとしています
▶️ 淋菌はテトラサイクリン耐性が高く(豪州で最大60%)、効果が弱いと考えられます
日本では梅毒が急増しており、再発を繰り返す高リスクの方にどう向き合うかは悩ましいところです。doxyPEPは日本では適応外で、耐性菌の懸念もあるため慎重に考えたいところですが、選択肢として世界で議論されていることは知っておきたいかなと思います🙂
【引用元】Traeger MW, Asselin J, Aung HL, et al. Population-level impact of doxycycline post-exposure prophylaxis on bacterial sexually transmitted infections. Nature Health 2026. DOI: 10.1038/s44360-026-00211-0
NEJMという雑誌から、インスリンを使っていない2型糖尿病でもCGMを貼ると、HbA1cが0.9ポイントも余分に下がるかもしれないという論文の紹介です(想定通りですが)😲
これまで私は「CGMはインスリン使用者のもの。非インスリン治療なら血糖自己測定(SMBG)か、HbA1cだけで十分」と考えてきましたし、ADAのStandardsでも非インスリン治療に対するエビデンスはレベルCでした。
CONNECT試験(米国プライマリケア22施設、HbA1c 7.5%以上、26週、n=283)では、
▶️ HbA1cは8.8→7.2%(CGM群)vs 8.7→8.0%(通常ケア群)、調整後差−0.9ポイント(95%CI −1.1〜−0.6、P<0.001)
▶️ TIR(70〜180mg/dL)は62% vs 42%で、差は21ポイント(1日約5時間分)
▶️ HbA1c 7.0%未満達成は46% vs 24%(探索的解析)
▶️ 重症低血糖は両群0件
ただし冷静に見たい点もあります⚠️
▶️ 対照群も−0.7ポイント下がっており、通院頻度が通常診療よりかなり多い設計(著者も試験効果と述べています)
▶️ CGM群で薬剤追加が多かった(31% vs 17%)ので、効果の一部は治療強化の影響もありそうです
▶️ 26週と短く、センサーは無償提供、企業(Dexcom)資金です
HbA1c高値で行動変容が進まない非インスリンの患者さんに、短期でもCGMを使って食事や運動と血糖の関係を「見える化」する選択肢が取れると良いですよね。
日本では保険適用の条件がありますので、そこは確認が必要かなと思います🙂
呼吸器の外来でも糖尿病併存の方は多く、ステロイド使用中の血糖把握にも使えないかと、つい考えてしまいました。
【引用元】Oser TK, Martens T, Ruedy KJ, et al. Continuous Glucose Monitoring in Non–Insulin-Treated Type 2 Diabetes. N Engl J Med 2026;395(17):1717-1727. DOI: 10.1056/NEJMoa2608571
NEJMから。COPDの増悪を繰り返す患者さんに、好酸球が低くても使える生物学的製剤の可能性についての試験です😲
個人的に一番興味深かったのは、好酸球数を問わず増悪が約3割減っていた点です。これまでは「生物学的製剤はType2炎症(好酸球高値)の人に」と教わり、トリプル吸入でも増悪を繰り返す好酸球低値の方には打つ手がなく、歯がゆい思いをしてきました。
抗IL-33抗体tozorakimab(4週ごと皮下注)の第3相2試験(OBERON/TITANIA)では、
▶️ 元喫煙者の年間増悪率は1.34 vs 1.90(RR 0.71)、1.37 vs 2.07(RR 0.66)
▶️ 現喫煙者を含む全体でもRR 0.70、0.71(いずれもP<0.001)
▶️ 好酸球<150/µLのサブグループも点推定値は同方向(探索的解析)
一方、慎重に見たい点もあります⚠️
▶️ SGRQ差は−1.62、−0.59で有意差なし(階層検定はここで停止)
▶️ 重篤な有害事象による死亡は2.5% vs 0.9%、MACEは2.5% vs 1.1%(TITANIA)。数は少ないものの注意が必要です
▶️ プラセボ群の増悪率が約2.0と高めでした
明日からの診療では、「好酸球が低いから生物学的製剤は無理」と考えていた増悪反復例を、将来の適応候補として意識しておきたいと思います。まだ未承認ですが、それまでは吸入手技・アドヒアランスの再確認とワクチン、呼吸リハの見直しを丁寧にやり直そうかなと思います🙂
【引用元】Sciurba FC, Watz H, Bourdin A, et al. Tozorakimab to Prevent COPD Exacerbations. N Engl J Med 2026;395(17):1703-1716. DOI: 10.1056/NEJMoa2606998
すごい勉強になる✍️
Replying to @DachsClinic
全員FIB-4出してくれるところありますよね🤣
正直、FIB-4高値を理由に紹介いただくことはほとんどないので、そこまでマメに見ていただいている先生は少ない印象です。
ただ、トランスがそれほど高くないから大丈夫とも限らなくて、MASLDや慢性肝疾患では、トランスの異常が目立たないようでも静かに線維化が進んでいることがあります。PBCなどは採血の時期によって肝障害の目立ち方が変わるので、そういう病気が隠れてないかFIB-4高値が拾われたら一度線維化を評価する意味はあると思います。
トランス高値や脂肪肝がある患者さんなら、「FIB-4も高値です」と添えて消化器に紹介いただければ、原因となる肝疾患の精査+線維化評価までしますので、全然OKです!
FibroScanは定量的に肝硬度が出ますし、点も取れるので、紹介前に「この人はより悪そう」と絞り込む判断軸としては有用だと思います。
我々はそれに加えて、肝辺縁・表面・実質、脾腫などの形態所見も見ています。ただ、そこまで一次診療側でやろうとするとハードルが上がるので、経験のある技師さんがいればUSで見てもらう、そうでなければFIB-4高値の段階で紹介、で十分だと思います。
長々と失礼しました!🙏
日本の喘息のJGLの増悪治療ステップにはアドレナリン皮下注の記載がありますが、硫酸Mg静注の記載あったか、記憶がちょっと定かではない。
もっかい読み直さねばです。
自分なら、あえてマグネシウムで粘るよりも、アドレナリン皮下注しながら、挿管の準備、セボフルラン準備、まさかのECMOに備えて関係各所に連絡とかしてしまうかも、、、。
数例ECMOまでいく喘息増悪対応しましたが、喘息はやっぱりとても怖い病気だと思います。
先日、診察で鼻の頭のほくろを見て「ん?」と思って紹介した方が、基底細胞癌でした。
それをきっかけに、ある先生から「呼吸器内科の先生って、顔の診察で何を見てるの?」と聞かれました。
正直あまり考えたことがなかったので、どんな順番で見ているのか、書き出してみます。
【マスクをつけて入ってきた時】
見えるのは耳と目元くらい。
すぐに耳を見て、Frank徴候がないか確認します。
あったら「心血管リスクが高そうな人だな」と思いながら診察を始めます。
目元では、眼瞼下垂や縮瞳、顔の発汗低下があればHorner症候群。
Pancoast腫瘍のサインのことがあります。
まぶたに紫紅色の浮腫性紅斑(ヘリオトロープ疹)があれば皮膚筋炎。
間質性肺疾患との関連があります。
【マスクを外してもらった瞬間】
鼻を見ます。
鼻のてっぺんに発疹がないか。
Hutchinson徴候があれば眼部帯状疱疹で、失明のリスクがある怖い病気なので必ずチェック。
そのまま内眼角のあたりも見ます。
顔の正中付近のほくろは基底細胞癌のことがあるので、「まさかな」と思いながら一応。
ただ、それ以外のほくろまでは気を配れていません。
【口を開けてもらったら】
まず虫歯。
あまりに多いと自己管理が苦手なのかもしれないので、吸入薬のアドヒアランスが心配だな、と考えます。
唾液が少なければSjögrenかな、とも。
それから口蓋に有痛性・無痛性の潰瘍がないか、咽頭後壁の所見も見ています。
【このとき聞くこと】
「耳って痒くないですか?」
アレルギー性鼻炎の人は、鼻だけでなく耳も痒いことがあるので。
ついでに「耳かきで咳が出やすいですか?」も。
Arnold反射が強い人は気道過敏性が高い人が多い印象があります。
【喉の診察が終わったら】
マスクも外れているので、さりげなく生え際を一周。
脂漏性皮膚炎だと思い込まれていて、実は乾癬だったことがあるので。
乾癬の方は、なぜか既往歴に書いてくれないことがあります。
バイオ製剤を使っている方も多く、結核にも注意が必要なので、ここは見逃したくないところです。
【悪性腫瘍の既往がある方には】
numb chin症候群を早く見つけたいので、
「下唇がピリピリしたりしないですよね?」
と聞くこともあります。
これが正しいとも論理的だとも思っていなくて、あまり考えずにやっています。
「顔ならこれも見たほうがいいよ」があれば、ぜひ教えてください。
ボルズィが話題ですが、いよいよヨビパスも長期処方解禁ですね。
ヨビパスの使いどころ、保守的に考えるなら。
ヨビパス(パロペグテリパラチド)は、副甲状腺機能低下症で不足するPTHを持続的に補う、1日1回の皮下注射薬。
活性型ビタミンDとCa補充で、症状・血清Ca・尿中Caが安定している患者なら、切り替えを急ぐ必要はないと考えます。
検討したいのは、従来治療を調整しても、
・症候性低Ca血症やCa値の大きな変動を繰り返す
・血清Caを保とうとすると高Ca尿症になる
・高リン血症や腎機能低下があり、管理に難渋する
・疾患に伴うQOL低下や内服負担が大きい
という慢性例でしょうか(違うというなら、教えて下さい)。
特に「血清Caは正常だから順調」とは限りません。PTH不足では腎でのCa再吸収も低下するため、内服で血清Caを維持できても、尿中へのCa排泄が増えていることがあります。
ただし、導入前には服薬状況、Mg・ビタミンD不足、食事内容を確認。高Ca尿症には注意。
尿中Ca低下や内服削減は期待できますが、長期的な腎不全・骨折予防まで確立したわけではないだろ、って思ってます。
導入時は活性型ビタミンD・Ca製剤の調整が必要で、開始・用量変更後7~14日を目安に血清Caを確認。高Ca血症や休薬時の低Ca血症にも注意します。
費用と自己注射の負担も含め、内分泌専門医と「何を改善するために導入するか」を共有して使いたい薬です。
早産児のいるご家庭に空気センサーを置いて「見える化」するだけで、室内の空気は良くなるのでしょうか?🤔Thorax. 2026からの論文のご紹介です。
個人的に一番興味深かったのは、効果が出た家庭と、出なかった家庭がはっきり分かれた点です。
これまで私は「換気してください」「タバコは控えて」と口頭で伝えるだけで、その後の効果を確かめられずにいました。この研究は、オランダの在胎30〜35週の早産児48世帯で、1か月の観察後に、リアルタイムのCO₂・PM2.5表示とeHealth教育を加えた前後比較です。
▶️ CO₂:−35.1 ppm(95%CI −63.3〜−6.9、p=0.015)
▶️ PM2.5:屋外濃度や気象で補正した予測との差の中央値 −3.2 µg/m³(IQR −5.3〜−1.8)
▶️ 喫煙者のいる世帯(6世帯):非喫煙世帯より +8.46 µg/m³(95%CI 4.12〜12.80)
素のPM2.5中央値は9→8 µg/m³とわずかで、WHOの年間指針5 µg/m³には届いていません。喫煙世帯では14→16 µg/m³とむしろ上昇していました😅 対照群がなく、期間は2か月、呼吸器アウトカムも見ていないので、因果までは言えないかなと思います。
臨床家が知っておいた方がよかったのは、「センサーと教育だけでは、喫煙由来の粒子は打ち消せない」という点です。さらに、台所の換気(kitchen extraction)や日常的な換気が、曝露を減らす現実的な手段になりうるという点は指導に役立ちそうです。
【引用】Tsang KD, van Iperen LL, Willers SM, et al. Real-time indoor air quality feedback and caregiver education in homes of preterm infants: a pre–post intervention study. Thorax. 2026 (Epub ahead of print). doi:10.1136/thorax-2026-225179
過敏性肺炎(カビや鳥の羽などを繰り返し吸い込んで起こる肺の病気)の方101人を調べた英国の研究です(chest誌掲載,2026年)🫁
約9割の方に咳がありました。女性、肺活量(FVC)が低い方、肺洗浄液中のリンパ球が多い方で、咳の自覚症状が強い傾向でした。咳を24時間測る機器で調べた28人では、咳は1時間に中央値で約9回ありました。
【図2】のとおり、咳の「つらさ」を0〜100mmの目盛りで答えてもらい、30mm未満の方と30mm以上の方に分けると、咳の回数は1時間あたり中央値で2.8回と16.3回でした。つらさの点数が高い方は、実際によく咳をしている可能性が高いといえます。ただし28人での結果で、30mmという線引きも他の咳の病気で使われる目安を当てはめたものです。
注目点はステロイド(プレドニゾロン)の効果です。3か月使った44人では、咳のつらさの点数が改善しました(13.7mm低下)。ところが、機械で咳の回数を測れた16人では、有意な減少はありませんでした(1時間あたり8.3回→7.6回)。
つまり、「楽になった」と感じても、咳の回数は変わっていない可能性があります。著者らは、ステロイドの気分を高める作用が影響したのかもしれないと推測しています。ただし、人数が少なく、比較対照群のない観察研究なので、はっきりとは言えません。
咳が続く方は、自己判断で薬をやめたり増やしたりせず、主治医にご相談ください。
【出典】Wu Z, Yazbeck L, Smith DJF, et al. Characterizing Cough and Its Response to Therapy in Hypersensitivity Pneumonitis. Chest. 2026;170(4):1105-1113. doi:10.1016/j.chest.2026.03.030
興味深いです。
あとで内容読まなくては。
UK Biobankの87,738人を対象とした前向き研究. 加速度計で測定した中高強度の身体活動量が多いほど, IPF発症リスクが低かった(HR 0.90, 95%CI 0.85–0.94).
少ない身体活動量とIPF発症の双方に関連する未測定交絡があるのか, 興味がありますね.
link.springer.com/article/10…
え、固定CPAPの方がオートCPAP(APAP)より血圧下がるの?と抄録を読んで一瞬目を疑いました。APAPは圧が低めで快適だし、同等かむしろ良いくらいに思っていたので。
CHEST 2026のFIXPAP試験(高血圧合併OSA、二重盲検クロスオーバーRCT)。24時間収縮期血圧の差は−4.4mmHg(95%CrI −11.1〜+2.0、pd 91%)、夜間は−6.8(−15.4〜+1.8)。ただしCrIは0をまたぎ、両治療を完遂したのは30例のみ。平均圧も固定12.5 vs APAP 10.3cmH₂Oと違うので、モードの差というより圧の差かもしれません。4週間、重症例中心です。
抄録しか読めておらず断定できません。全文読める方、圧差の扱いや残存AHIなど詳細を教えてください🙏
先生方は現場でAPAPと固定をどう使い分けていますか?
sciencedirect.com/science/ar…
間質性肺炎を見る呼吸器内科医を悩ませている問題についてです。「HPパターン」が「BIPパターン」になった、とだけ理解していませんか?🤔
個人的に一番興味深かったのは、2025年のATS/ERS分類改訂が、元タスクフォースの一部が共著を辞退するほどの議論を呼んだ点です。単なる名称変更ではなく、概念が広がっていることを知っておいた方がよいかなと思います。
これまでは画像も病理も「HPパターン」と呼び、そこから抗原曝露を探していました。新分類では、画像・病理の形態を「BIPパターン」、多職種検討による診断を「fHP」やCTD関連ILDなどと分けます。
BIPは従来のHPパターンと重なりつつ、HP以外の原因も含む、より広い概念です。十分な原因検索後も原因不明なら「idiopathic BIP」という暫定診断を検討しますが、抗原不明でもHPと確信できる例まで一律に置き換えるわけではありません。
▶️ 賛成側:UIP・NSIPと並ぶ命名で、画像と病理の用語が揃い、CTD・慢性誤嚥・薬剤など他の原因も探しやすい
▶️ 反対側:既存研究の大半はHPパターンで診断されており、BIPという名称だけでは、HPを支持する細気管支周囲の肉芽腫性炎症などの情報が十分に伝わらない
▶️ 注意:2002年のYousemらのBIPなど、過去の「BIP」とは別物
明日からは、BIPパターンと書かれていてもfHPの否定ではないと受け止めます。そのうえで、抗原曝露に加え、CTD・慢性誤嚥・薬剤も含めて原因検索を丁寧に行いたいです。fHPの診断基準も2020年ATS/JRS/ALATと2021年CHESTの2つあり、細部が異なります。BIPパターンの再現性のある定義や、idiopathic BIPで治療を変えるべきかは未検証で、前向き研究待ちです。
恥ずかしながら過去のBIPとの違いを整理できておらず、反省しました。
【引用】Cottin V. Bronchiolocentric interstitial pneumonia: words matter. Am J Respir Crit Care Med. 2026;212(3):548-550. doi:10.1093/ajrccm/aamag010
呼吸器の専門誌『CHEST』2026年10月号に、心不全の息切れの理由を探る米国メイヨークリニックの研究が載ってました🫁
心臓のポンプ力は保たれているのに息切れが出るタイプの心不全(HFpEF)の方13人と、年齢・性別を合わせた健康な方16人を比べています。運動中は呼吸のための筋肉(呼吸筋)も酸素を使うため、運動中の呼吸を安静時にそのまま真似してもらい、呼吸筋だけが使う酸素の量を推定しました。
【図1】のとおり、軽い運動(自転車40ワット)のとき、体全体が使う酸素のうち呼吸筋が使う割合は、健康な方で中央値4.6%、HFpEFの方で8.3%と、約2倍でした(P<.01)。最大運動量の約65%の運動でも、4.6%と7.2%でHFpEFの方が高い結果でした。
HFpEFの方では、肺活量(FVC)が小さい人ほど、呼吸が速い人ほど、呼吸筋の酸素使用量が多い傾向もありました。健康な方では見られませんでした。HFpEFの方は、浅く速い呼吸になりやすいことが知られており、そのことが呼吸筋の負担を増やしているのかもしれません。
息切れには、心臓だけでなく「呼吸そのものにかかる負担」も関わっている可能性があります。
著者らは、今後、呼吸筋を鍛えるトレーニングで、この負担を減らせるかを調べる必要があるとしています。
【出典】Phillips TC, Bruhn EJ, Cifci G, et al. Higher Respiratory Muscle Oxygen Cost of Breathing During Exercise in Heart Failure With Preserved Ejection Fraction. Chest. 2026;170(4):1164-1173. doi:10.1016/j.chest.2026.04.051
ボルズィやデエビゴ、クービビックなどのDORAは、脳を「起き続けろ」と促す物質オレキシンの働きをブロックして、眠りやすくする薬です。
睡眠薬は大きく3タイプあります。
・GABA系(マイスリーなど):脳の活動にブレーキをかけて、眠らせる
・メラトニン系(ロゼレムなど):体内時計に働きかけ、眠るタイミングを整える
・DORA:「起きていなさい」という脳の指令を弱めて、眠気が出やすい状態にする
シーソーにたとえると、GABA系は「眠る側」を後押しし、DORAは「起きる側」を弱めるイメージです。
不眠症の人は、夜になっても脳の覚醒スイッチが十分に切れていないと考えられています。つまり、眠ろうとしても脳が「まだ起きて」と働き続けている状態です。心拍数の増加や交感神経の活性化が見られたという報告もあります(いずれも海外の研究より)。DORAは過剰な覚醒を抑え、眠りと覚醒のバランスを整えると考えられています。
🤖 Made with AI
今日からボルズィ(ボルノレキサント)の長期処方が可能になりました。
これまで約40人の方に処方して、ネガティブな感想だったのは1人だけ。デエビゴから切り替えて、デエビゴに戻った方は今のところいません。
意外だったのは、CPAP導入期で寝入りに苦労されている方との相性。「異物感で眠れない」という声が多い時期に、最初の2週間だけボルズィを少し使っていただくと、ほとんどの方で困りごとが解消しました。もちろん、ボルズィが要らない方もたくさんいます。
あくまで個人の臨床実感(n≒40、非盲検)ですが、ゲームチェンジャーになる可能性を感じています。エビデンスの蓄積はこれからです。
総合病院の不眠時指示からデエビゴが入れ替わるには、まだ時間がかかるかもしれません。今後の動向に注目しながら、必要な方に積極的に使っていきます。























